晩秋の空
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千本出水辺りは京都でも、ついぞ観光客など訪れることのない地域であるが、街に不思議な空気が漂うディープな地域である
「はちはち Infinity Cafe」は千本通りから一本東の土屋町通り上長者町を下った路地を西に進んだその奥の森の中?に潜む
京都市中にもこんな場所があるのか!?
驚きと興味を禁じ得ない
建家は廃屋に近い木造で、中ではドイツパンが焼かれ、サンドイッチやコーヒーが楽しめる
店主は品のよい紳士、元ホテルマンで、欧州から帰国した際、日本に美味しいドイツパンがないことに気付き自分で焼き始めたという
仕事帰りの夕暮れという滅多にない機会を生かして素敵な寄り道を試みた
店は静かで、はちはちの森は夕闇に沈んでいく
メニューにはワインもある
オーガニックの赤
ブルゴーニュのシラー、アランパレ
飲みやすく味わい豊か
ライ麦のキャラウェィを使用したドイツパンにチーズがのるオープンサンド
素直に美味しい
店主はワインにも詳しく、酒にも話は弾み、とある穴場の居酒屋を教えてもらったりもした
イチヂクのライ麦パンと店主お勧めの絶対お得なフルーツケーキを持ち帰りにしてもらい、謂わば迷宮の森を後にした
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大阪は東洋のマンチェスターと呼ばれ紡績業を中心に東京をも凌ぐ繁栄を誇っていた
大阪綿業會舘は東洋紡の岡常夫の遺言により遺産100万円を元手に150万円という破格の予算で建設された
当時の大阪城の復興建設費が50万程度であったというから破格であることは間違いない
建築は渡辺節建築設計事務所の設計、ヘッドドラフトマンは、かの村野藤吾である
外観はアメリカンボザールか、村野は当時、渡辺から「売れる建築を作りなさい」と言われていたそうであるが、絶妙に均整のとれた外観は大阪に数ある近代建築の中で秀逸である
内部は趣味趣向の異なる会員に満足してもらえるよう多彩なインテリアが展開される
最も豪華な二階談話室はイギリス、ジャコビアンスタイルで正面の壁には「タイルのタペストリー」が設えられている
タイルは京都泉涌寺の窯で焼いたもので、設計者渡辺が自らの手で施工したという逸話が残る
タイルの型は僅か5種類であるが、唐三彩を思わせる釉薬が形態に豊かさをもたらし、全体として豪華なタペストリーに仕上がっている
建物は昭和六年に完成し、エレベーターやビルトインの空調ダクトなど先進的な技術もあり、現代にあって尚、さしたる改造されることなく充分な魅力を湛えているのである
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懐石に合う数酒、食後の月見に飲みたい数酒
懐石に合わせる酒はあまり綺麗すぎてもいけないという
主張ある懐石の場合、酒が引き立たず、相乗効果が薄れてしまう
酒屋の店主が選んだのは、岩手「菊の司」、福島「亀ノ尾」、熊本「香露」
徐々に芳醇の極みに向かう
次は月見酒
こちらは味に個性を持つ酒が並ぶ
山口「日下無双」、奈良「梅乃宿古酒」、そしてなんと言っても驚きの酒、月桂冠「秘蔵古酒」
昭和51年仕込み
三十三年の歳月をかけて熟成された酒は、ボトルを開けるなり不思議な芳香が漂い、辺りの空気は豹変し、ぐい呑みで口に含んだ途端今までに日本酒でも老紹興酒でも体験したことはない何処か懐かしささえ感じるふくよかな味わいに包まれるのであった
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